貢献するSDGs

ドライバーの安全運転を支援「AR(※1)ヘッドアップディスプレイ」

法令違反別交通事故件数の割合

交通事故件数の低減に向けて

安全運転義務違反には「安全不確認」「脇見運転」「動静不注視」「漫然運転」などが含まれ、重大な事故につながる危険な行為です。マクセルグループはドライバーの負荷を低減させる製品の提供を通じて交通事故死ゼロに向けて貢献していきます。

映像表示技術でドライバーの安全運転を支援する

 高速運転時、ドライバーの視点移動は大きな事故につながる可能性があります。そこで、マクセルでは、走行に必要な情報をフロントガラス越しの実景に合わせて表示でき、視点移動を最小限に抑えることができるARヘッドアップディスプレイ(以下AR-HUD)を、2020年の製品化をめざして開発してきました。
 実景に合わせて情報を表示できるAR-HUDの特長を活かし、行き先や速度などのナビゲーション情報表示の他に、対向車や歩行者を検知した際のアラート情報表示など、ドライバーを支援する安全機能の開発も並行して進めています。
 安全運転に必要な情報をドライバーに提供するには、車内外の情報を適切に取得することが求められます。特に夜間は昼間に比べ交通量が少ないことや、仕事の疲れなどから漫然運転になりやすく、危険を見落としやすくなります。マクセルでは開発当初から夜間の視認性向上に寄与するセンシング技術の開発に注力してきました。また、開発中のAR-HUDには、ドライバーの目線の高さを検知するカメラと連携し自動で表示位置を調整する機能が搭載されています。今後は、このカメラを使ってドライバーの顔全体の情報を取得して、ドライバー検知機能や目のまわりの情報から健康状態や居眠り運転など危険を回避する状態監視機能を搭載する予定です。

AR-HUDの小型化に成功、製品化へ

 HUDは、ステアリングとフロントガラスの間の狭いスペースに設置する製品ですが、先行他社製品を調べると、容積が非常に大きく、搭載のボトルネックになっていることが分かりました。さらにAR機能を実現するには大型化が見込まれるため、搭載するためには車のデザイン自体を変えなければいけないといった課題がありました。一方マクセルは、プロジェクターの光学技術として短い投写距離でも大画面の映像を表示できる「超短投写光学技術」を開発してきました。この技術をHUDへ応用することで小型化を実現し、車へ搭載可能なサイズで遠方に大画面の映像を表示可能なAR-HUDの開発に成功しました。
 開発当初、ドライバーが見えている視界(FOV:Field of View)は、垂直方向が1.4度、水平方向が5~6度程度と狭いものでしたが、2017年には垂直方向が4度で、水平方向が10度と視野面積が約5倍のAR-HUDの開発に成功し、OEMメーカーから高い評価をいただいています。

2019年4月の上海モーターショーの様子

中国市場でのシェア獲得をめざす

 これまで、上海モーターショーなど各種展示会を通じて多くのOEMメーカーにAR-HUDの価値を訴求してきました。マクセルは、2025年に1000万台のHUD需要が見込まれている中国における事業化をめざし、現在中国OEMを中心に商談を急ピッチで進めています。中国は国を挙げて積極的に次世代自動車の開発に取り組んでいることからも、AR-HUDの需要はますます高くなっていくことが予想されます。
 今後は中国市場で製品を立ち上げ、その後日本や欧州市場などワールドワイドに事業を展開していきます。

関連リンク  法人のお客様向け製品