マテリアリティ 価値を生み出す人・組織づくり

人的資本の強化

 従来より、人的資本の強化に向けて「多様な人財の獲得」「持続的な育成」「適正な配置」「働きがいのある職場環境の整備」「経営参画意識の向上」「風土醸成」を軸に各施策を実行してきました。MEX26においては、「個人一人ひとりの長所を伸ばす」「チームとして仕事をする」「難しい課題に挑戦する」ための各施策に対して優先的に投資し、実行していきます。

MEX26目標達成までの道筋

多様な人財の獲得

求める人財

 マクセルブランドへの信頼をさらに高め、持続的な成長を実現していくには、お客様のニーズや市場環境などさまざまな変化に対して、自ら課題を発見し、自ら考え、行動に移すことができる人財が欠かせません。
 マクセルグループは求める人財像のキーワードとして、「自走できる従業員」「知恵を出す従業員」「活発で前向きな従業員」の3つを掲げています。多様な人財が専門性を融合・連携させ、新たな価値創造に挑戦し、未来を共創していけるように、優秀な人財の採用・育成に一層注力していきます。また、当社グループは、ダイバーシティ重視の観点から、異なる価値観、感性、経験を有する人財を活かし、組織力強化を図るため、外国人、女性、さまざまなキャリア経験者など、多様な人財の採用を積極的に行っています。

マネジメント・体制・制度

新卒採用
4年制大学卒業・大学院の修士課程、博士課程の修了見込の方、または、卒業・修了後3年以内の方を対象として採用活動を推進しています

キャリア採用
出身業界や職種に捉われず、多様なスキルや経験を有する方を採用しています

リターンエントリー制度
出産、育児、介護などの理由による退職する社員のうち、会社とのマッチングが図れた場合、退職後5年以内に再雇用する
リターンエントリー制度を運用することで育児・介護等による仕事と家庭の両立支援を推進しています。

目標

 当社の女性新卒採用:事務系50%、技術系25%以上

実績

当社新卒採用の男女比率*推移

女性 男性
2023年度入社 36.4% 63.6%
技術系 29.4% 70.6%
事務・営業系 60.0% 40.0%
2024年度入社 50.0% 50.0%
技術系 42.9% 57.1%
事務・営業系 66.7% 33.3%
2025年度入社 47.8% 52.2%
技術系 26.7% 73.3%
事務・営業系 87.5% 12.5%
※ 大卒以上の採用における男女比率

持続的な育成

教育方針

マクセルでは、3つの教育方針を基本とし、重点取り組み項目を定めて教育を実施しています。

教育基本方針

  1. 1.企業経営にとって最も重要なのは人であり、教育的風土を醸成するとともに、人が育つ会社を目ざす
  2. 2.世の中の変化をとらえ、独創性と技術力を誠実に追求し、社員・顧客・社会に価値を提供できるような人財を育成する
  3. 3.グローバルマインド及びダイバーシティ&インクルージョンマインドを持った人財を育成する

重点取り組み項目

  1. 1.経営・マネジメント層の巻き込みによる、マクセルのビジネスと育成の紐づけ強化
  2. 2.各領域において、実践型・体験型プログラムを中心とした、新たな"気づき"の創出

マネジメント・体制・制度

当社の人財育成は、経営幹部にて議論した教育基本方針に従って、事業本部の部門長を中心とした、
「グローバル」「営業・マーケティング」「技術」の3つの分科会にて、各分野に求められる教育の計画・実行を行っております。

教育委員会 体制図

目標

・求める人財のスキルマップ作成(2026年度)
・全社教育計画の達成率:100%継続

実績

2024年度
・技術職のスキルマップ作成に着手(継続中)
・全社教育計画の達成率100%

活動

階層別・職能教育の実施
 階層別教育では、各階層に求められる役割を職場で発揮するための、実践型・体験型プログラムを提供しています。また、職能教育では、「グローバル」「営業・マーケティング」「技術」の3つの分野ごとに人財育成施策を展開することで、各専門分野の階層に応じた研修や、海外研修などのグローバル教育を実施するほか、時流に合わせて定期的に教育テーマや手法をブラッシュアップするなど、さまざまな教育カリキュラムを通じて、新たな価値を創造できる人財を育成しています。
 後継者育成については、改めてマクセルの役員に求められる資質・能力・経験を定義したうえで、次期、次々期の経営幹部候補者を人財会議にて選抜しています。選抜者への教育については、より職場実践を重視した教育プログラムへと見直し、ローテーションなどを計画、推進することにより、強い事業、新たな事業を創出する人的基盤を強化しています。

人財育成 教育体系 体系図

 

IoTビジネス創生で活躍できる「IoT/AI」技術者の育成
「IoT人財育成プログラム」の実践教育を通じて、IoTに関するプログラムの知識を習得し、IoTビジネス創生で活躍できる「IoT/AI」技術者の育成をめざします。具体的には、IoT・AIの知識を活用して、デバイス/アプリケーションを実装できるようになる人財の育成を目的に、実践型プログラミングの学習やプログラミング言語Pythonの習得に取り組める機会を設けており、約60名の従業員が参加しています。このような取り組みを着実に実施することで、確かな技術をもとにニーズとシーズをつなげ、IoT・AI技術を活用した新事業創出への強化を図っていきます。2025年度も引き続き計画に沿って教育・研修を実施していきます。

適正な配置

マネジメント・体制・制度

 2021年度に管理職の人事処遇制度を全面刷新し、そのなかで、マクセルが求める管理職の役割を定義し直しました。これはマクセルの変革のリーダーとなる管理職一人ひとりが実践すべき仕事の水準を認識しやすくなるように定めたものです。役割定義には、「価値にこだわるということは、組織をマネジメントしたうえで、目的達成のための道筋を構築し、顧客の要求・価値に応えることが前提で、それらを達成した結果として企業価値が生まれる」ということを明文化し、その意識を徹底しています。

管理職に期待される役割要素

  1. 1.組織基盤強化
  2. 2.実現プロセス構築
  3. 3.顧客価値創出
  4. 4.企業価値創出

目標

・タレントマネジメントシステム:2026年度までにグループ会社へ導入
・評価者教育:2回/年

実績

2024年度
・タレントマネジメントシステムの刷新
・評価者教育:2回/年 実施

活動

タレントマネジメントシステムの刷新
 2024年度に、社員一人ひとりの成長を支援し、組織全体の力を最大限に引き出すことを目的として、タレントマネジメントシステムを刷新しました。新システムでは、これまで一部に限定されていた対象範囲を拡大したことで、社員のスキル、業務経験、キャリア志向などの人財情報を一元的に可視化・管理することが可能となりました。今後は、より適切な人財配置やキャリア形成の支援、育成施策の高度化が実現できる体制を整えていきます。
 また、2026年度までには、本システムをグループ各社にも段階的に展開し、グループ全体での人財情報の連携と育成力の強化を図ってまいります。

チャレンジできる風土醸成

マネジメント・体制・制度

 マクセルでは社員一人ひとりのキャリア形成を支援する取り組みの一環として、キャリア面談を全社員対象に実施しております。この面談を通じて、社員のキャリアビジョンや成長意欲を把握し、個々の目標に応じたサポートを行うことで、持続的な成長と働きがいのある職場づくりを目指してまいります。

目標

・キャリア面談実施率:100%
・従業員意識調査 仕事のやりがい度の向上:90%以上(2026年度)

実績

2024年度
・キャリア面談実施率:100%達成
・従業員意識調査 仕事のやりがい度の向上:66%

活動

タレントマネジメントシステムを活用したキャリア支援の取り組み
 マクセルでは、社員一人ひとりの成長を支援し、組織全体の持続的な発展を目指して、タレントマネジメントシステムを活用した人財育成に取り組んでいます。その一環として、キャリア面談の実施率向上に注力し、全社員と向き合う仕組みを整備してきました。
 タレントマネジメントシステムのeラーニング機能を活用し、面談の意義や目的について評価者・被評価者の双方が再確認できるようにし、面談に対する意識づけを図りました。さらに、アンケート機能を用いたモニタリングを通じて、面談の実施状況や質の把握を行い、継続的な改善にも取り組んでいます。
 これらの取り組みの結果、全社員を対象としたキャリア面談の実施率100%を達成することができました。今後もこの仕組みを継続的に改善しながら、対話を通じた人財育成を推進していきます。
 社員一人ひとりがキャリアについて考え、上司と対話する機会を持つことで、個人の成長支援と組織力向上を両立させていきます。

従業員意識調査によるエンゲージメントの向上
 マクセルでは従業員意識調査を毎年1回実施しています。
 エンゲージメントについては「熱意」「没頭」「活力」「職場肯定感」「将来勤続感」「方向性一致」「現状満足度」の7要素で新たに定義し、目標値「肯定的回答者90%以上」に対して66%の結果となりました。目標達成のために、全社施策として、タレントマネジメント推進による必要とされるスキルの習得及びキャリア形成の実現、コミュニケーション施策による組織活性化などの施策及びマネジメント向上施策などを中心に実行していきます。加えて、サーベイのレポートでは部門別の対策も含めて展開しており、職場単位での改善にも取り組んでいます。

エンゲージメントスコア(肯定的回答者の割合)(年度)

2022 2023 2024
55% 63% 66%
※ 2022年度までは会社生活に対する総合的な満足度スコア

働きがいのある職場環境の整備

マネジメント・体制・制度

 マクセルでは、すべての従業員がライフスタイルやライフステージに応じて柔軟な働き方ができるよう多様な勤務制度を整備しています。特に仕事と家庭の両立のため、育児や介護については法定水準を上回る制度を設けております。
 男性育児休暇の取得については、2023年度より、新たに有給休暇として5日の「出生時育児休暇」を付与しており、2024年度から取得率100%をKPIに設定し、取得しやすい職場づくりへの取り組みを進めていきます。

柔軟な働き方に関する勤務制度
フレックス勤務や在宅勤務を導入し、従業員のライフステージに合わせて「働き方」を柔軟に選択してもらえるような職場づくりをめざしています。

 制度名概要
出産・育児 不妊治療休暇 配偶者のいる社員が対象で年間5日まで
出産休暇 産前8週間以内、産後8週間
出生時育児休暇 配偶者が子を出産した場合につき5日まで
育児休暇 出産休暇終了日の翌日から小学校1年
修了時の3月31日までの通算2年以内
育児短時間勤務 子が小学校を卒業するまで
(7時間、6.5時間、6時間のうちいずれか)
家族看護休暇 1年に5日まで
介護 介護休暇 1介護事由につき通算1年以内
年次介護休暇 介護対象者1人につき1年に5日
2人以上は1年に10日
介護短時間勤務制度 介護事由が消滅するまで
(7時間、6.5時間、6時間のうちいずれか)
休暇 年次有給休暇 1年につき22日(勤続1年未満の者)
1年につき24日(勤続1年以上の者)
時間単位年休 1年につき40時間(5日)まで

目標

・男性育児休業等の取得促進:取得率100%(2024年度)
・従業員年間総実労働時間の短縮:2023年度比2.5%削減1850時間(2026年度)

実績

 マクセルでは、すべての従業員がライフスタイルやライフステージに応じて柔軟な働き方ができるよう多様な勤務制度を整備しています。特に仕事と家庭の両立のため、育児や介護については法定水準を上回る制度を設けています。男性育児休暇の2024年度取得実績は83%となりました。

育児・介護休暇制度の利用実績

年度 2020 2021 2022 2023 2024
育児休暇等* 9名 14名 15名(男性5名/女性10名) 16名(男性12名/女性4名) 13名(男性10名/女性3名)
介護休暇 1名 0名 1名 1名 0名
* 2023年度より出生時育児休暇取得者数を含む

活動

 マクセルでは、すべての従業員がより働きやすい会社作りの実現のため下記のような取り組みを行っています。

 

仕事と介護の両立支援ハンドブック
ワークライフマネジメント(両立支援)

 2016年度より在宅勤務制度を取り入れ、育児や介護などライフイベントとの両立支援をおこなっております。2018年度には、働き方休み方ガイドラインを作成し、あわせて説明会と職場勉強会を実施することで、広く従業員にワークライフマネジメントの推進を呼びかけております。また、介護についても理解を深めるため、全従業員に「仕事と介護の両立支援ハンドブック」を配布し、ライフイベントと仕事の両立を支援しています。
2019年度には、一部の部署において事由に関わらず「上司」「部下」それぞれの立場で在宅勤務のトライアル実施を行い、制度の理解を促進しました。
 上記に加えて、月1回「定時退勤日」を設定し、全社での定時退社を強く推進することで全従業員のワークライフマネジメントの向上を図っています。また、月1回の年次有給休暇の取得を呼びかける「月イチ年休」を実施しております。

働きやすいコミュニケーション環境づくり
  1. 1.在宅勤務ガイドラインを策定し、2019年に行った在宅勤務トライアルの結果や社会のニーズに合わせて随時更新しながら感染拡大防止と企業活動の両立を図っています。また、社内ではオンラインコミュニケーションツールを活用し、より効率的な働き方を推進しております。
  2. 2.「会議の見直しとメールマナー」の策定により
    以下の内容に取り組んでいます。
    ・会議は原則1時間以内
    ・会議資料はペーパーレス化
    ・夜間・休日のメールは禁止
    ・社内メールでの挨拶は不要
会議の基本ルール メールマナー 3つのSで会議を変えよう smart small short

 

働き方改革をアシストするデジタル化の推進
 マクセルは、経営基盤の強化や働き方改革を進めるうえで重要な施策として積極的にデジタル化を推進しています。経営基盤の強化では、国内外の各拠点が個別に業務基盤を設ける運営形態から、業務標準化をめざした業務改革と基幹システムの刷新を進めることで、ローコストオペレーションやガバナンス強化、人財活用の適正化などを図っています。特に、総務や経理、事業オペレーションといった間接部門においては、業務の自動化や業務効率化をできる限り実現し、以下のデジタル化施策を推進することで、生産性の向上とコスト低減を図っています。

働き方改革と生産性向上におけるデジタル化施策
・テレワーク環境の整備・強化
・オンライン会議のルール化、効率化、安定化、効率良い会議形態の推進
・ペーパーレス化
・クラウド活用の推進
・承認・回覧手続きの電子申請化
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)活用による業務効率化、デジタル化
・クラウド活用とテレワーク利用拡大に対するセキュリティ強化

経営参画意識の向上

 従業員が自社株式を保有することにより経営参画意識を高め、企業価値の継続的な向上を図ると共に、株主との価値共有を深めることを目的として譲渡制限付株式を交付する株式報酬制度及び持株会制度を導入しています。

マネジメント・体制・制度

株式報酬制度
当社の管理職に対して5年間の譲渡制限を付した株式を年に1回付与

マクセルグループ社員持株会制度
当社及び国内グループ会社の社員及びシニア社員を対象に持株会制度を導入しています。