マクセルグループはアナログコア技術である
「混合分散(まぜる)」、「精密塗布(ぬる)」、
「高精度成形(かためる)」の3つの技術要素を
価値創造の源泉として、今までになかった製品や
サービスの創出に取り組んでいます。

アナログコア技術 全固体電池

なぜ全固体電池か

マクセル 全固体電池開発の開発戦略

 マクセルグループのミッションである「独創技術のイノベーション追求を通じて持続可能な社会に貢献する」に沿い、マクセルではSDGsなど社会課題解決につながる事業創出に取り組んでいます。特に注力しているのは全固体電池です。
 全固体電池とは、その名の通り液体を全く含まない電池のことです。これまでの電池では、正負極間をイオンが行き来するための通り道として、電解液と呼ばれる液体(イオン伝導体)が必要でした。しかし電解液が危険物であるため電池の安全性に関して懸念を持たれていました。

  全固体電池では液体電解液の代わりに固体のイオン伝導体が使われます。電池全体が固体材料で構成されているため高エネルギー密度と高安全性を両立することが可能です。しかし技術的なハードルは高く、これまで研究されてきた固体電解質はいずれもリチウムイオン伝導性が低く、高性能な全固体電池の実現は困難と考えられてきました。しかし近年、有機系電解液に匹敵するイオン伝導度を示す固体電解質が開発され、安全性、耐熱性、長寿命、高エネルギー密度、高出力など複数の特性を同時に向上可能な次世代電池として、全固体電池が注目されるようになりました。全固体電池がSDGsなど社会課題解決に貢献する中心的な電源になりうるものと期待しています。

 

アナログコア技術に立脚した全固体電池

マクセル 硫化物系全固体電池の課題

 近年、ウエアラブル端末や産業機器など小型電池を電源としたデバイスが増えています。それらの機器を取り扱う顧客に対して、マクセルでは耐熱性や安全性、入出力特性など、都度のご要望に沿った電池を開発してきました。
 現行LIBはスマートフォンが普及し始めた2010年頃から電池を長持ちさせる技術革新が進み、急激にエネルギー密度が上がってきました。しかしながら、従来の材料系で安全性を保ちながらエネルギー密度を上げるのには限界があり、2015年頃から発火や膨れなど信頼性に関わる事故が増加しました。その後、安全性への懸念からモバイル機器用LIBのエネルギー密度に大きな向上は認められていません。

 

 全固体電池は化学的な安定性や安全性において現行LIBよりも優れていますが、エネルギー密度や入出力特性を向上するためにはイオン伝導度を高めることが不可欠です。そこでマクセルは、イオン伝導度の高い固体電解質の開発に成功している数少ない企業である三井金属鉱業株式会社(以下、三井金属)と協業し研究開発を進めています。三井金属とマクセルはアルカリ乾電池やマイクロ電池及びリチウムイオン電池の分野で古くから協業しており、長きにわたり信頼関係を築けてきたことから全固体電池での共同開発が実現しました。全固体電池は2019年4月より研究フェーズから事業化フェーズに移行しました。

 

マクセル 全固体電池の進化 今後の展開

全固体電池の進化 
~今後に向けて~

 現在は世界初の硫化物系コイン形全固体電池の製品化に向けて着実に開発を進めています。その次のステップとして高容量化や高性能化を進め、医療用などを含めた次世代ウエアラブル機器への展開をめざしています。全固体電池の中大型化については自動車関連会社との共同開発を進めており、5G機器や車載用テレマティックスなど新しい分野への進出をめざしていきます。
 将来的には、インプラント用などの高い信頼性が求められる領域や、全固体電池でなければならない新市場「Market X」を創生していきたいと考えています。