対談 モノづくり力とグローバル4極体制の強化
─世界の顧客課題に応える

執行役員 営業統括 佐野 健一 / 取締役 常務執行役員 モノづくり統括、機能性部材料事業統括、 ライフソリューション事業統括 椙棟 直人
フロントランナー戦略によるエネルギーセグメントの成長イメージ

マクセルのフロントランナー戦略の要点について、モノづくり統括の椙棟と、営業統括の佐野が対談し、製造と販売の両面からエネルギーセグメントの成長戦略について意見を交わしました。

小型電池領域のフロントランナーとしての強み

椙棟マクセルは、小型電池の耐熱CR電池で世界トップシェアを誇ります。お客様とは、事業化に向けて数多くの高いハードルを乗り越えてきたことを通じて信頼関係を構築してきましたが、引き続き、お客様の困りごとを解決していくために、生産・製品・品質管理における技術力を強化していきたいと考えています。

CR電池については、高効率かつ高品質の小型電池(マイクロバッテリー)の量産技術を追求することが必要となります。今後のキーワードは「小さいものをいかに速く作るか」です。マクセルのCR電池の主要市場は自動車でしたが、現在は、CGM (持続血統モニタリング)を中心とした医療領域にも広がっています。安心・安全・長寿命という付加価値が評価され、ニーズは非常に高まっており、2026年度下期より生産ラインを増強していく計画です。医療領域では、より高度な設計、すり合わせ技術、サプライヤーを含めた材料開発、量産のためのプロセス構築設計が求められますが、マクセルの強みを発揮し、お客様の高度な要望に応えています。

佐野電池はマクセルの創業製品であり、当社は世の中のニーズの変化に対応した高耐熱、長寿命、高信頼性といった高性能な電池を作り続けてきました。今回、マクセルサクラが加わったことにより、当社グループのシェアがさらに高まるとともに、課題解決のソリューションが増えました。

一次電池は長寿命でも数年に1回は電池を交換する必要があります。そこで、メンテナンスフリーつまり交換が不要になる全固体電池に注力しており、現在、お客様が使いやすいようにモジュール化して提案活動を進め、需要は着実に増えています。そして用途の拡大に向けては、全固体電池でなければならない分野を開拓しています。例えば宇宙分野においては、人工衛星向け全固体電池の開発に向けてJAXAと共同研究を開始することを2026年6月に発表しました。ハイスペックな製品を開発し、ニーズに応えていきたいと考えています。

取締役 常務執行役員 モノづくり統括、機能性部材料事業統括、 ライフソリューション事業統括 椙棟 直人

椙棟全固体電池の用途拡大に向けては、世界トップレベルの技術で勝負していかなければいけません。全固体電池の製造における1番のポイントは成形技術で、量産フェーズに移行する際には、試行錯誤しながら成形するための金型を製作し、そして、厚みや圧力、時間などさまざまな条件をコントロールするノウハウを蓄積しながら改善を重ね、課題をクリアしてきました。また、全固体電池は非常に特殊な材料を使うため、安全をしっかり担保することも重要です。これらのハードルを乗り越えたことで、マクセルの技術優位性が確立されていると考えています。

佐野本当に、量産の成形プロセスはマクセルにとって社内外に誇れるところですね。資本効率を高める観点からも、モノづくり力の向上に取り組むことは必要です。当社は経営における指標として2019年度よりROICを導入していますが、ROICに相関するモノづくりにおける指標としてPP(Profit Potential)=営業利益額/在庫金額を掲げて、営業利益を上げるための技術開発・投資と、在庫を減らすためのタイムリーなモノづくりを追求しています。

世界4極の販売拠点が連携し、ビジネスを展開

佐野マクセルには日本・北米・欧州・アジアの4極に販売拠点があります。この体制のもと、営業はワールドワイドでお客様のニーズを聞き、その課題解決を通じて培った技術シーズを起点としてマクセルならではの提供価値を創出し、競争力のある高い品質の製品を作り込みます。それを再びマクセルグループ世界4極体制で、さまざまな業界のビッグ3企業をターゲットに横展開して販売の拡大を図ります。4極が連携して、日本で売れたものは北米で、北米で売れたものは欧州で、欧州で売れたものはアジアで、と東回りの販売の可能性について議論しています。また、新興国マーケットについては、現在インドでの販売に注力しています。

椙棟お客様と商談する際は、技術者が営業と一緒に訪問するようにして、信頼関係を構築してきましたね。

佐野そうですね。ポイントはお客様の技術者と話すことであり、そのためには当社の技術者が訪問し、ソリューションの深いところまで対話することが重要です。マクセルでは、技術者が若い時からお客様のところに行くことが企業文化として根付いています。お客様の目線で「早く安く」を求める営業と、「良いもの」を作り込みたい技術者で、熱い議論となることもあります。最近はそのような姿を見ることが減っているように思いますが、積極的に議論することで、営業と技術者がお互いのレベルを引き上げていけると考えます。

マクセルグループ世界4極体制

マクセルグループ世界4極体制

マクセルの成長を牽引するエネルギー事業の今後の展望

椙棟当社のリソースは限られていますので、例えば小型電池のように、成長が見込める事業にフォーカスして人、資金を投入するとともに、横ぐしの組織で人の流動性を高め、さまざまな技術を扱う部隊を設けることにより、横断的に取り組める体制を強化していきたいと考えています。

また、全固体電池の量産フェーズにおいては、そのプロセスの進化に向けてAI技術も活用していく必要があると考えており、その分野で先行しているパートナー企業との対話も開始しています。

将来に向けては、人が介在しなくても、モノづくりができる世界をめざさなければいけないと考えています。足元のビジネスを実現させるためにリソースを注ぐとともに、未来を見据え、モノづくりの進化に向けた取り組みを進めます。中村社長、佐野さんとは、お客様から求められるよりも早く提案し期待を超えていける会社になりたいと話しています。

今回M&Aによって子会社化したマクセルサクラの前身である村田製作所は、これまで電池事業でライバルでしたが同じグループとなり、技術者同士の交流を通じて新たな世界観が見えてきました。今後に向けて、期待は非常に大きくなっています。小野事業所と新たに加わった郡山事業所間のローテーションを増やし、さらなる組織の活性化、技術開発の推進を図っていきたいと考えています。

(M&Aによる事業統合 ─ マイクロ電池のマクセルへ)参照

執行役員 営業統括 佐野 健一

佐野マクセルならではのユニークなモノづくりを増やすために、営業は日本の小さいマーケットではなく、海外にどんどん出て、より多くの情報を取ってくる必要があります。社員には、海外赴任を含め海外マーケットを経験する機会をより多く設けて、世界4極で活躍する人財を増やしていきたいと考えます。