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超薄型高密度ナノグラニュラ磁性薄膜を用いた
超大容量磁気テープ技術を開発
〜カートリッジ1巻当たりで10TBを超える記憶容量が可能に〜

2007年5月18日

 日立マクセル株式会社(執行役社長:角田 義人、以下、マクセル)と国立大学法人・東京工業大学(学長:相澤 益男、以下、東京工業大学)は、独立行政法人・科学技術振興機構(JST)における委託事業「産学共同シーズイノベーション化事業・顕在化ステージ*1」により進めてきた磁気テープメディアの大容量化技術の開発において、対向ターゲット式スパッタ法による超薄型高密度ナノグラニュラ磁性薄膜を用いた超大容量テープ技術を開発しました。本技術は、現行の磁性粒子塗布型コンピュータテープの次世代を視野に入れたもので、記憶容量10TB(テラバイト)を超える大容量化への道を拓きます。

 近年、IT社会の発展等によるアーカイブデータ量の急激な増大により、データストレージシステムにおけるアーカイブ用途テープメディアの大容量化への要求が高まっています。テープメディアへのデータ記録は、フィルム上に磁性微粒子から成る磁性層を形成することにより行われますが、カートリッジ1巻当たり10TBを超える大容量化に対しては、磁性微粒子を10ナノメートル(nm)以下に微粒子化し、これをフィルム上に薄膜形成することが不可欠となります。しかしながら、現在用いられている「塗布法」や「蒸着法」では10nm以下のサイズの微粒子を薄膜形成することは極めて困難であり、このたび磁気テープメディアの大容量化技術を新たに開発しました。

 今回開発したナノグラニュラ磁性薄膜を用いた磁気テープメディアは、現在主流となっている塗布型磁気テープメディアの次の世代を視野に入れた磁気テープメディアであり、スパッタ法を用いて、数nm(ナノメートル)サイズの磁性ナノグレインをフィルム上へ薄膜形成することにより、カートリッジ1巻当たり10TB以上の記憶容量を可能にする技術です。このナノグラニュラ磁性薄膜テープメディアの磁性層は、東京工業大学大学院 理工学研究科、中川 茂樹准教授らにより開発された「対向ターゲット式スパッタ法」という新しい成膜方法により形成され、マクセルの磁気テープ材料・設計技術と、この新成膜方法を組み合わせることで、粒径10ナノメートル以下の微細な磁性ナノグレインをフィルム基板上に形成することに成功しました。また、記録再生特性評価した結果、LTO Ultrium 3データカートリッジやDLTtape® S4データカートリッジなどの現行品*2と比較してS/N比(信号対ノイズ比)で約2倍高く*3、また、分解能(識別限界)としても現行品比約30%向上するなど、実用レベルを上回る特性が出ています。

 今後、マクセルと東京工業大学は、JSTにおける委託事業「産学共同シーズイノベーション化事業・顕在化ステージ」による磁気テープメディアの大容量化技術の開発をさらに進めてまいります*4

  • *1 独立行政法人・科学技術振興機構(JST)による委託事業の一つであり、大学・公的研究機関等の基礎研究に着目し、産業界の視点からシーズ候補を顕在化させ、大学等と産業界との共同研究によってイノベーションの創出に繋げることを目的とする事業です。
  • *2 マクセル製品。
  • *3 線記録密度337 kFCI(磁化反転/インチ)において。FCIは、1インチの長さ当たり、何回、磁化(NS極)の向きが変化したかを示す単位。例えば、100kFCIでは、1インチ当たり10万回磁化の向きが変化することを示す。
  • *4 マクセルでは、カートリッジ1巻当たりの記憶容量で10TBクラスを可能にする新球状磁性体「NanoCAP」(ナノキャップ:Nano Composite Advanced Particle)技術による磁気テープメディアの開発を進めています。マクセルとしては、今回の開発を、NanoCAP磁性体のさらに先をいく大容量磁気テープメディアを実現する取り組みと位置づけています。

主な特長

  1. 対向ターゲット式スパッタ法により超薄型高密度ナノグラニュラ磁性薄膜を形成
    東京工業大学で開発された対向ターゲット式スパッタ法を活用することにより、粒径10nm以下の微細なナノグレインをフィルム基板上に形成することが可能になりました。対向ターゲット式スパッタ法は、放電プラズマがフィルム基板に接触することがなく、電子の流入効果も抑制され、膜の損傷やフィルム基板の温度上昇が本質的に少ない成膜方法です。
    「蒸着型」では、プロセスの原理から、蒸着した結晶カラム(円柱)が傾いており、リニア走行する大容量コンピュータテープに使うことは困難となっている一方で、「スパッタ法」は、高保磁力で薄膜化が可能であり、結晶カラムもフィルム基板に対して垂直であるので、大容量コンピュータテープに適しています。

    対向ターゲット式スパッタ法の原理図

    スパッタ法は、磁界をかけることにより、プラズマでターゲット(薄膜にしたい物質)からはじき飛ばされたターゲット成分を付着させる方式です。対向ターゲット式スパッタ法では、フィルム基板はプラズマから離れて配置されているので、ダメージが少なく、高品位の成膜が可能です。

    ナノグラニュラ磁性薄膜のイメージ図

    ナノグニュラ磁性薄膜とは、磁性材料の中心部分と非磁性体の境界部分からなる、直径10nm以下の円柱状構造のナノグレインが集合し、薄膜になったものです。

  2. 現行のコンピュータテープ*2に比較し、高い記録再生特性を達成
    開発したナノグラニュラ磁性薄膜テープメディアの記録再生特性評価を行い、現行品*2のLTO Ultrium 3データカートリッジ、DLTtape® S4データカートリッジと比較した結果、S/N比(信号対ノイズ比)で現行品より5.8dBから 5.9dBと約2倍高く*3、また、分解能(識別限界)としては指標である孤立波幅PW50が現行品より32%から34%減少するなど、S/N比、分解能ともに大幅に向上したことを確認しました。これは、微細なナノグラニュラ構造薄膜と現行品の約1.6倍の高い保磁力(348kA/m)などの磁気特性が両立したことにより、ノイズが大幅に低減したためであることを確認しました。
  • *2 マクセル製品。
  • *3 線記録密度337 kFCI(磁化反転/インチ)において。
  • DLT、DLTtape、DLTSAGEおよびそれらのロゴは、米国その他におけるQuantum社の商標または登録商標です。
  • Linear Tape-Open、LTO、LTOロゴ、UltriumおよびUltriumロゴは米国その他におけるHP社、IBM社およびQuantum社の商標です。
  • NanoCAPおよびnanoCAPロゴは、米国その他における日立マクセル(株)の登録商標です。

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