水とアルミニウムを水素発生源とした燃料電池を開発
〜10ワット級の燃料電池をモバイル電源で実証〜
2006年4月24日
日立マクセル株式会社(執行役社長:角田 義人)は、水とアルミニウムとの反応による水素発生システムを確立し、このシステムを水素発生源とした燃料電池を開発いたしました。さらにこの燃料電池を使用した10ワット(W)級モバイル電源の開発に成功し、ノートPCを動作させることができました。
近年、モバイル機器の小型軽量化・高性能化が進み、主電源である電池の性能向上が求められています。また、資源の有効利用や環境保全のためのクリーンエネルギーとして、次世代電源である燃料電池に対する期待が高まっています。現在、開発が進められている燃料電池として、メタノールを燃料とする「直接メタノール形燃料電池(DMFC)」や、高圧ボンベなどの水素を燃料とする「固体高分子形燃料電池(PEFC)」などがあります。しかし、DMFCでは出力の低さとメタノールクロスオーバー*1という課題が、PEFCでは改質装置および高圧ボンベによる複雑な機器およびコスト高などの課題があります。
今回開発した燃料電池は、水とアルミニウムとの反応による水素発生システムを利用したPEFCです。水とアルミニウムとの反応による水素発生システムは、国立大学法人室蘭工業大学渡辺正夫教授の研究に端を発しておりますが、マクセルはさらなる検討を加え独自のアルミニウム微粒子化プロセス技術の開発に成功しました。これにより、室温で1グラムのアルミニウムから1.3リットルという大量の水素発生が可能となりました。また、アルミニウムは安価で環境に優しい材料です。将来的にはアルミニウム廃材をリサイクル利用するなど、資源の有効活用も期待できます。加えて、燃料電池のキーコンポーネントである膜-電極接合体(MEA)もマクセルが独自に開発しました。磁気テープで培ったコア技術「分散・塗布技術」を活用し、室温で280mW/cm2とMEAとして世界最高レベルの出力密度を達成しました。これは、DMFCの5倍(当社比)の出力で、MEAの面積を五分の一にできます。
これらの開発により、現在10W級 のモバイル電源を実可動させることに成功し、ノートPCを設計通り動作できました。
今回開発した燃料電池は、10〜100W級の電源として用途の検討を進めています。今後、実用化に向けてさらなる開発を進めてまいります。
- *1 メタノール燃料が電解質膜を通過する現象で、燃料ロスとなるばかりでなく、透過したメタノールの酸化反応により電圧低下や発熱の原因となる。
主な特長
- 水とアルミニウムを水素発生源とした10W級のモバイル電源を開発
- 水とアルミニウムとの反応による水素発生システムを確立し、このシステムを水素発生源とした固体高分子形燃料電池を開発しました。今回、この電池を用いて、10W級のモバイル電源を実証いたしました。アルミニウムカートリッジと水カートリッジを交換することでノートPCや非常用電源などを長時間稼動できます。
- 独自製法のアルミニウム微粒子により、室温で理論限界に近い大量の水素を発生
- 独自製法のアルミニウム微粒子化プロセス技術の開発に成功しました。このアルミニウム微粒子に水を加えることにより、室温で1グラムのアルミニウムから1.3リットルという理論限界に近い大量の水素発生が可能となりました。
- 出力280mW/cm2と、直接メタノール形燃料電池の5倍(当社比)を達成
- マクセルのコア技術である「分散・塗布技術」の活用により、室温で280mW/cm2と世界最高レベルの出力密度を得ました。この出力は、直接メタノール形燃料電池の5倍(当社比)となります。
主な仕様
| 名称 |
固体高分子形燃料電池(PEFC) |
| 出力 |
平均10W
最大20W |
| 電圧 |
7.4V |
| 外形 |
160×100×60mm (960cc) |
| 質量 |
920g |
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