塩化チオニルリチウム電池「ER」
仕様
*標準容量は20℃の環境において標準放電電流で放電した時、終止電圧3.0Vまでの持続時間から求めたものです。
**寸法、質量は電池自身のもので、仕様により異なります。
・データおよび寸法は参考値であり、詳細については弊社までお問い合わせください。
製品安全データシートMSDS(英語版)[PDF 172KB]
構造図
原理と反応
塩化チオニルリチウム電池は、正極活物質として液体の塩化チオニル(SOCl2)、負極活物質としてリチウム(Li)を用いています。電池反応は次のように示されます。
電池反応
| 正極反応 : |
2SOCl2+4Li++4e- → 4LiCl+S+SO2 |
| 負極反応 : |
Li → Li++e- |
| 全反応 : |
2SOCl2+4Li → 4LiCl+S+SO2 |
特長
- 3.6Vの高電圧
塩化チオニルリチウム電池は、3.6Vの高電圧を実現。
- フラットな放電特性
放電中の内部抵抗の変化が少なく、放電末期までフラットな放電電圧を示します。
- 高エネルギー密度
放電電流が100μAで970mWh/cm3(ER6タイプの場合)と、高いエネルギー密度を備えています。
- 広い使用温度範囲
-55℃〜+85℃と広い温度範囲でご使用いただけます。(-40℃以下でご使用の場合は、弊社にご相談ください)
- 優れた長期信頼性
自己放電が極めて少なく、さらにハーメチックシールによる封止方式を採用していますので、長期にわたって安心してご使用になれます。
過渡最低電圧
塩化チオニルリチウム電池の自己放電は従来の電池に比べて著しく小さくなっています。これは負極リチウムの表面に塩化リチウムの皮膜が形成され、正極との反応を防いでいるためです。貯蔵後初めて放電する場合、この塩化リチウムの皮膜抵抗により、放電開始時に一時的に電圧が低下することがあります。その時の最低の電圧を過渡最低電圧と呼び、温度が低いほど、また、放電電流が大きいほど低い電圧を示します。(過渡最低電圧は電池の保存期間、保存条件によっても大きく影響を受けるため、機器設計時には十分この点に配慮する必要があります。)
上図は初度電池の場合の過渡最低電圧を示しています。
負荷抵抗と作動電圧の関係
電池の作動電圧は、負荷が大きくなるほど、また、温度が低くなるほど低下します。使用初期の場合、-40℃の低温においても1mA以下の放電であれば、3V以上の電位を維持できます。
保存特性
塩化チオニルリチウム電池は、化学的に安定した無機材料でつくられています。また、レーザー溶接封口とハーメチックシールを採用した封止方式により、外気の影響を受けにくく、保存中の自己放電電気量は常温保存で約1%以下/年と小さく、優れた保存特性を示しています。
UL部品認定合格品
塩化チオニルリチウム電池はUL(Underwriters Laboratories Inc.)の部品認定を取得しています。 (Technician Replaceable)
認可品種:ER18/50、ER17/50、ER6、ER6C、ER17/33、ER3、ER3S、ER6K
認可番号:MH12568
用途
●OA機器(FAX、コピー、プリンタ等) ●医療機器、レジ等
●FA機器(測定器、ボードマイコン、センサ)
●マイコンメータ(ガス、水道、電力) ●ETC
●家庭用火災警報器、煙探知機
※本ウェブサイト内に記載されている特性データは、標準的な測定例です。これらは保証値ではなく参考値とお考えください。
仕様等詳細については、下記カタログ(PDF)をご参照下さい。
塩化チオニルリチウム電池カタログダウンロード [PDF 840KB]
産業用電池総合版カタログダウンロード [PDF 4.06MB]
塩化チオニルリチウム電池に関する安全上のご注意
安全性に関する遵守事項
この電池は内容物としてリチウム(危険物)と塩化チオニル(劇物)を含み、それらを密封した高エネルギー密度の電池ですので、使い方を誤ると電池が変形、漏液(電池内部の液体が外部に出てくること)、発熱、破裂、発火する、あるいは刺激性・腐食性ガスが発生する原因となります。これらは、けがや機器故障の原因となりますので、以下の警告事項、注意事項を必ずお守りください。
さらに、本仕様書に記載された警告・注意事項については、貴社の納入先から廃棄業者(リサイクル含む)までを含めて徹底させてください。
- 取扱い
充電禁止
- 電池を飲み込まないようにしてください。
電池は、乳幼児の手の届かない所に置いてください。万一、電池を飲み込んだ場合は、すぐ医師に相談してください。
- 正極端子に過剰な力をかけないでください。
正極端子はガラスシールですので、この位置に衝撃や過剰な力(19.6N以上の力)をかけるとガラスシールが損傷し、漏液および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 電池を落下させないでください。
電池を落下させた場合、ガラスシールが損傷し、漏液および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 電池に端子やリード線などを直接溶接しないでください。
はんだなどの溶接の熱により、金属リチウムが溶融するほどの危険な高温度になり、電池の変形、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。はんだ付けが必要な場合は、端子付きあるいはリード線付き電池の端子やリード線に手はんだしてください。こて先温度は350℃以下、はんだ付け時間は5秒以内で、なるべく短時間にしてください。はんだ浴の場合、浴上で停滞したり、浴内に落下したりする可能性がありますので、弊社にご相談ください。なお、過剰にはんだを付けますと、余分なはんだがプリント基板上に回りこみ、電池をショートさせたり、電源ラインと接続し電池が充電されるおそれがありますので、ご注意ください。
- 電池をショートさせないでください。
電池の(+)極と(−)極を針金などで接続したり、電池を金属製のネックレスやヘアピンなどと一緒に持ち運んだり、保管しないでください。電池がショート状態となり、過大電流が流れて、電池の変形、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 電池を充電しないでください。
この電池は充電できません。充電するとガスが発生したり、内部ショートが生じて、電池の変形、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 強制放電しないでください。
外部電源や他の電池により電池を強制放電すると電圧が0V以下(転極)になり、電池内部でガス発生して電池の変形、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 電池を加熱しないでください。
100℃以上に加熱すると電池内圧が上昇し、電池の変形、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 電池を火の中に投入しないでください。
火の中に電池を投入すると金属リチウムが溶融して電池は激しく破裂、発火します。
- 電池を分解しないでください。
電池を分解すると刺激性・腐食性のガスが発生します。また、金属リチウムが発熱して発火する原因となります。
- 電池を加圧変形させないでください。
電池の変形は、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスの発生原因となります。
- 機器に電池を挿入する際に、電池を逆に挿入しないでください。
電池が充電されたり、ショートなどで異常反応を起こして、電池を変形、漏液、発熱、破裂、発火させる原因となります。
- 電池を混用しないでください。
新しい電池と使用した電池や古い電池、銘柄や種類の異なる電池などを混ぜて使用しますと、特性の違いから、電池を変形、漏液、発熱、破裂、発火および刺激性・腐食性ガスを発生させる原因となります。なお、同じ種類の電池であっても、2個もしくはそれ以上の電池を直列あるいは並列で接続する場合は事前に弊社にご相談ください。
- 電池から出た液体に触れないでください。
電池の液が目に入ったときは、目に傷害を与える原因となりますので、こすらずに多量の水道水などのきれいな水で充分に洗った後、すぐに医師の治療を受けてください。 電池の液が口の中に入ったり、唇に付着した時は、すぐに多量の水道水などのきれいな水でうがいをして医師に相談してください。
- 電池を皮膚に固着させないでください。
テープなどで、電池を皮膚に固着させると、皮膚に傷害を起こす原因となります。
- 回路設計(バックアップ用途)
この電池は、一次電池であり充電はできません。メモリーバックアップ用途で使用される場合は、下図の通り主電源や他の電池からの充電電流を防止するため、充電電流防止用ダイオードと電流規制用保護抵抗を必ず使用してください。なお、ダイオードならびに保護抵抗の選定には以下の点を十分考慮してください。
- 電池電圧について
この電池の電圧は3.6Vですが、充電電流防止用ダイオードと電流規制用保護抵抗を使用する場合は、これらによる電圧降下を考慮してください。
- 充電電流防止用ダイオードの使用について
ダイオードは,漏れ電流が0.5μA以下のものをお選びください。
- 電流規制用保護抵抗の選定と使用方法
保護抵抗は、ダイオード破損時に大電流で電池が充電されることを防ぐためのものです。最大許容充電電流を超えないように抵抗値を設定してください。例えば、ER6を5Vの主電源と組み合わせて使用例(A)の回路で使用する場合、最大許容充電電流は100μAであり、この電池の電池電圧は3.6Vですので、保護抵抗値Rは R≧(5V-3.6V)/100μA=14KΩとなり、14KΩ以上が必要になります。
| 型式 | 最大許容充電電流 |
| ER18/50 |
125μA |
| ER17/50 |
125μA |
| ER6 |
100μA |
| ER6C |
100μA |
| ER17/33 |
70μA |
| ER3 |
50μA |
| ER3S |
40μA |
注)表の最大電流値は長期充電されても破裂には至らないと考えられる最大許容充電電流を示していますが、万一ダイオードが故障した場合にはなるべく早い時機に修理交換することが安全対策上必要です。また、許容充電電流を超えた電流で充電されると破裂に至ることがありますので、万一ダイオードや保護抵抗が故障しても電池が他の電源により大電流で充電されることがないよう、回路上で安全対策を施す必要が有ります。ダイオードのリーク電流よりも大きい電流で充電されるおそれがある場合や、図の回路が採用できない場合は事前に弊社にご相談ください。

- 廃棄
事業者でないユーザー様がこの電池を廃棄する際(ご家庭で廃棄する場合等)は、電池1個毎に(+)極と(-)極を絶縁性テープで絶縁し、お住まいの市町村が指示する分別ルールに従って「使用済みリチウム電池」として廃棄してください。
事業者ユーザー様がこの電池を廃棄する際は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従い、事業者ユーザー様ご自身が産業廃棄物処理業者と契約した上で適正に処理されるようお願い致します。ご不明な点がございましたら、弊社までご相談ください。
- 取扱い
- 過渡最低電圧
種々の実験から、過渡最低電圧は実際の使用状態や貯蔵状態の影響を大きく受けることが判っています。従って回路設計に当たっては過渡最低電圧による電圧降下を十分配慮して標準放電電流以下でご使用いただける設計としてください。ご不明な点がある場合には、事前に弊社にご相談ください。
- 電池の取り付け・取り外しおよび廃棄
1)電池を装置に取り付ける場合は正極が上、もしくは最悪でも横向きになるように設置してください。正極活物質である塩化チオニルは液体ですので正極が下になると塩化チオニルが偏在し、使用電流が大きい場合には所定の性能が得られないことがあります。
2)電池を取り付け、交換、取り外しおよび廃棄する作業者は、取扱い上の警告および注意事項を熟知した技術者としてください。
- 保管する場合
電池を保管する場合は直射日光、高温、高湿の場所を避け、雨水などのかからない所に保管してください。
- 同梱する場合
電池を装置に同梱する場合は、輸送・保管等の流通において、電池(特に正極端子)に衝撃が加わらないように緩衝材等で電池を保護してください。